みなさんバルトリン線嚢胞って聞いたことありますか?私はさかのぼること20年前位に初めてその病名を聞きました。ある日突然なんの前触れもなく、膣の入り口に近い付近がブワーッと腫れまして(鏡で確認しました!)、もう座ることが辛い痛さ。クッションが効いた椅子に座る時でもお尻半分斜めに浮かせたい位ですし、自転車なんてもっての他、という位痛い!
当時、場所が場所だけに、なかなか人に話しにくく、ネット検索しても体験談は少なく、とんでもない病気だったらどうしよう、と不安でいっぱいに…。で、婦人科に行ったところ、「あー、バルトリン線嚢胞ですねー。とりあえず抗生物質で抑えましょうか」位のノリだったのですが、先生曰く、女性によくある病気とのことでした。
薬を飲んだらみるみる腫れは引き、すぐに何事もなかったかのような状態になったので、詳しくその病気を掘り下げることはなく、それ以降はバルトリン線嚢胞にかかったことすら忘れていました。
しかし、昨年なったんですよ。また。。。
今回は、再発→穿刺術→痛みや腫れが解消されない→開窓術という流れを実体験した筆者が、
* 症状
* 治療の様子
* 術後の経過と注意点
* 再発を防ぐために意識していること
を、お伝えしようと思います。
同じように不安を感じている方に、少しでも安心材料になりますように!
バルトリン嚢胞って何?どんな症状が出るの?
バルトリン腺は、膣の入口付近にある小さな分泌腺です。
ここが詰まったり炎症を起こしたりすると、分泌液が溜まって腫瘍のような「嚢胞(のうほう)」ができるのが「バルトリン線嚢胞」です。
私の場合、実はその前1年位、お風呂に入って洗っている時に、少し「ん?」という感じはあったんです。痛みや腫れは無いのですが、以前バルトリン線嚢胞をやった側に少し膨らみがあるというか、反対側とは違う何かの存在感。年に一度受けている婦人科検診でも、先生から「バルトリン線腫れたことある?」と聞かれたこともあったので、腫れた名残なのかな、程度に思っていました。
でも、それが後の炎症を招く元だったんです。
そして、人生二度目の「バルトリン線嚢胞」へと繋がります。
*歩くと擦れて痛い
*下着が当たるとチクチクする
*なんとなく片側が腫れている気がする
という症状が土曜日の朝訪れました。そこで忘れていた「バルトリン線嚢胞」を思い出したんです。もう嫌な予感しかしない。。。
鎮痛剤を飲んだりして、どうかこのまま収束してくれ~!と祈ったものの、あっという間に“こぶ”のような腫れになり、座るのも痛いし、仕事にも生活にも支障が出るので、ネットでなるべく近くの婦人科で土曜日の診療がやっているクリニックを探し、歩くと擦れて痛いのでタクシーで向かいました。
穿刺術でひとまず安心。でも…
初めてなった時には抗生物質で炎症を抑えるやり方で、あっという間に痛みと腫れがひいたので詳しく調べたりしなかったのですが、結局、バルトリン線の詰まった箇所に穴を開け、中に詰まった分泌物(炎症を起こしているということは化膿しているウミがあるということ)を出さないと、解決にはならないということでした。さらに、この病気は治っても、また穴が詰まれば再発することもあるという厄介なものだと知らされました。
先生から提示されたのは、「穿刺術」。
腫れている部分に針を刺して、内部に溜まった膿や液を抜き取る、応急処置的な治療です。
麻酔なしで行うことが多いということで、そのことに恐怖しながらも、今の痛みから解放されたい私はとりあえずその治療法をお願いしました。「チクッ…ズズズ…」という圧迫と痛みにギリギリ耐えました(汗)。
処置後は一瞬かなり楽になりました。まあ椅子に左右のお尻並行なまま座れるかな、という感じ。ですが、先生からははっきり言われました。
「穿刺術は対症療法なので、再発する可能性が高いですよ」
確かに、腫れを抜いても“元の詰まりや腺の問題”を治したわけではないのです。
その日は、とりあえずそのまま自宅に戻り様子を見ることにしました。
やっぱり再発。そして「開窓術」へ
穿刺術でだいぶ良くなる人もいるのでしょうが、私の場合翌日の日曜には、穿刺術をする前位に痛みも腫れも元に戻ってしまいました。土曜日に行ったクリニックの先生は、「穿刺術でも治らないようであれば開窓術をするしかないですね。ただ、ここのクリニックでは開窓術はやっていないのでもしその場合は他の病院で診てもらってください」と言われていました。
「これはもう、根本治療しかない」と覚悟を決めて、「開窓術(かいそうじゅつ)」をやってくれるなるべく会社からも家からも通いやすいクリニックを探し、早速月曜日に予約を入れました。

▽ 開窓術ってどんなもの?
開窓術は、腫れている部位を切開し、排膿したあと、出口(開口部)を一定期間開けたままにして再閉塞を防ぐ治療法です。この話を聞いた瞬間、気持ちとしてはひるみましたが、せっかく病院来てしまったし、腫れや痛みを引きずるのはイヤという思いが勝り、開窓術を受けることにしました。
私のケースは日帰り手術でした。
1:局所麻酔をしてから処置スタート(麻酔あっという間)
2:腫れている嚢胞を切開(もともと腫れてて痛い上に、麻酔もあってかメスで切られてることは全然分からず)
3:内容物を排出し、ガーゼを詰める(先生の、「中の膿を出しましたよー。ガーゼ詰めますね」の言葉だけで状況を把握)
4:数日間、通院しながら消毒&経過観察
術後はさすがに痛みと違和感がありましたが、ガーゼというかティッシュの分厚いのを切った部分にグッと押し付けナプキンをつけて帰る、という感じでした。その日は、手術後会社に行ったのですが、病院から会社まで約30分かかり会社でトイレに行ってみると結構出血して(膿みたいなものも混じった状態)いてちょっと驚きました。生理の時の血は見慣れているのでさして何も思いませんが、それとはまた違う、傷から出た血…、これはこれで量が多いとドキッとするものです。そこから2時間位してトイレにいくと。出血もほぼ止まっていました。
※ちなみに、医療保険の日帰り手術の給付金がもらえたので(25,000円でした)、トータルの診察費用と合わせて、最終的には持ち出しはほんの少しで済みました。私の場合、通常の医療保険に女性特有の病気保障のものをつけていたので、出たのか、通常の医療保険だけでも出るのか、また保険会社により規定も違うかもしれませんが、ちょっとした手術でも保険会社への問い合わせは必ずした方がいいです。なかには、給付金対象外の場合もありますが、まずは問い合わせをしてみてください。長年せっせと支払っているのですからこういう時こそ活用させていただかなくては!
術後の自宅ケアがえぐかった
術後の過ごし方と気をつけたこと
術後はとにかく「清潔・通気・無理をしない」ことを心がけてください、と言われました。
★医師から言われたこと
*しばらくは湯船NG、シャワーのみ
*消毒は毎日しっかり
*ナプキンやおりものシートはこまめに交換
*下着は通気性のよい綿素材に変更
特に生理とかぶったときは、清潔を保つのが本当に大変。
でも再発しないために、細かいケアが命です。
手術をした翌日とその3日後、通院して先生に消毒をしてもらいました。この消毒というのが大変なんです。イメージはこうです。バルトリンの袋があって本来そこには小さな穴が開いており、性交時など必要な時にはそこから分泌液が出る仕組み→何かの原因でこの穴が詰まってしまう→中に分泌液が溜まり、なんらかの菌で炎症を起こし膿となる。→この膿が溜まった状態でいると痛いし腫れる→塞がってしまった穴の替わりにメスで代替穴を作り中に溜まった膿を出す→切った場所に雑菌などが入ってまた炎症が起きないように、またこの穴が塞がってしまわないように、細い綿棒に薬をつけて穴の中を消毒する。この下線の部分を最初の2回は先生にやっていただきました。でもこの消毒をお願いするのに毎日病院に行くのもスケジュール的に大変でした。先生が言うには、ご自分で出来ない方には来院していただいてますが、ご自宅でご自分でされる方もいますよ」と。で、やり方を聞いて自分でやってみることにしたんですよ。
これが、なかなかのホラーでした。私は一人暮らしなので、誰に見られるでもないのでその点ではのびのびとケア出来ましたが、それでもコツをつかむのが難しく、ソファの上で鏡をあそこが見える位置にセットし、メスでスパッと切られている(切り傷としては縦に5mm位な感じ)ところに、かなり細身の綿棒にもらった軟膏薬をつけてブスッと入れるわけですよ。1度出来ると、その後は慣れてくるんですが、最初の1回目にかなり苦戦して下半身丸出しで多分1時間位は格闘していました。ピアスの穴を開けたことのある人は、ご存じだと思いますが、ピアスも開けたては、穴が塞がらないように、はめたピアスをクルクル回すようにと言われたと思います(私がピアスの穴を開けたのは大学入学時なので相当前ですが、その時穴を開けた皮膚科ではそう言われました)
切った傷の中に綿棒を刺す、というとそれだけで傷に塩を塗る、感じで痛い気しかしません。その恐怖で最初の一刺しの勇気は相当なものでした。これを毎日続けていると、穴のまわりの傷が塞がり、穴だけが開いた状態になります。ここまでくれば一応完治になります。2週間後、1ヵ月後と病院には行って、自宅でのケアがきちんと出来ているか(穴が塞がらず、炎症などおきていないか)のチェックを受け、最終的に先生からもう通院しないでいいですよ、と言っていただけます。それ以降も塞がるのが怖くて1か月に1回位は綿棒を入れてみていました。3か月位経ってからは、2~3か月に1回位この綿棒(傷の軟膏を塗った状態)の儀式をやってみています(笑)開通していれば膿が溜まったりする事態にはならないので、これが再発を防ぐ方法かなと思っています。
再発防止のために今も心がけていること
開窓術から数ヶ月経った今、私が気をつけている習慣はこちらです。
再発防止のための習慣
- ストレスを溜めない(免疫力が大事)
- 適度な運動で血流を良くする
- トイレを我慢しない
- 蒸れやすい服を避け、通気重視
- デリケートゾーンの洗いすぎを避ける
「デリケートだからこそ丁寧に。でもやりすぎない」このバランスが肝心です。
誰にも言えない不安を、ひとりで抱えないで
この病気は場所が場所だけに、恥ずかしくて受診が遅れる人も多いと聞きます。
私自身、最初は誰にも言えず、検索魔になって、精神的にどんよりしていました。この腫れは「自壊」と言って、自然に腫れが耐え切れなくなって穴が開通し膿が出て治るというパターンもあるようで、何回も湯舟に入って(座るのがつらいのでお湯の中が楽だったらしい)その水圧の影響もあったのか、お湯の中で自壊したという記事も読んだのですが、さすがにこれはためらいました。この方は、日本ではなく海外にいる時にバルトリン線嚢胞になり、手立てがわからなく痛み軽減のためになんどもお風呂に入っていたらこのような事態になったそうです。
経験した今となっては、これは性格にもよりますが、穿刺術をすっとばして開窓術を受けてしまった方が良いな、ということです。抗生物質を飲んだところで、中に得体のしれないものが溜まっていることに変わりはなく、当時そこまで情報をつかめなかったので提案された抗生物質にしてしまいましたが、あまり薬を飲みたくない私としては、2回目のこの選択はして良かったと思えるものでした。自宅でのケアはなかなかしんどいものがありますが。
とりあえず根本解決が早いので、その点が良かったです。不安を抱える時間も、苦痛を我慢する時間も、あなたの大切な時間を奪います。恥ずかしがらず、まずは信頼できる婦人科で相談してみてください。
【まとめ】アラフィフだからこそ、「異変」に気づく力を大切に
年齢を重ねると、なんとなく「これくらい大丈夫」と我慢してしまいがち。
でもアラフィフ世代だからこそ、小さな違和感に気づき、行動に移すことがとても大切です。
バルトリン線嚢胞は、誰にでも起こる可能性がある身近なトラブル。
正しい知識と、早めの対処があれば、ちゃんと治ります。
これを読んでいるあなたが、
「そういえば最近ちょっと変かも?」と感じているなら、
その“気づき”を信じて早目に病院に行くことをおすすめします。
あなたの身体は、あなただけのもの。
どうか、自分を大事にする生き方を選んでいきましょう。